2019年の創業以来、約3年という期間で自社YouTubeチャンネル100万人を達成したpamxy。ただ、あくまでYouTubeはpamxyのごく一部でしかなく、彼らはエンタメとテクノロジーの掛け算によって世界を前進させるエンターテックのプロフェッショナルである。
今回は、創業以来急成長を続ける株式会社pamxy代表・西江さんに、pamxyのこれまでと今、そして、pamxyの未来について話を聞いた。
株式会社pamxy 代表取締役
早稲田大学卒業後、新卒でTBSに入社。制作局にて『日本レコード大賞』『爆報THEフライデー』を担当。入社2年目にして自身の企画が通り、『借金、チャラにします。』の総合演出を担当。2019年6月にTBSを退社し、同年の9月に株式会社pamxyを設立。『エンターテック で、世界中ココロ躍らす。』のスローガンのもと、IP事業、マーケティング事業、コマース事業を展開。創業当時から自身も出演するYouTubeチャンネル『あるごめとりい』はチャンネル登録者数116万人を超え、姉妹チャンネルである『ミッドナイトムーン』は22万人、『あるごXXX』は10万人を超える。マーケティング事業では上場企業をはじめとして多種多様な顧客のマーケティング支援を行う。コマース事業ではオンラインギフトサービスを立ち上げる
目次
1.pamxyのこれまで
・エンタメ×テクノロジーの可能性、IP事業立ち上げ
・pamxy創業からの急成長ーマーケティング事業部とコマース事業部立ち上げまで
2.pamxyの今
・IP事業部の今 最高品質のエンタメコンテンツを生み出す
・マーケティング事業部の今 豊富なSNS運用実績と自社チャンネルを抱える強み
・コマース事業部の今 エンタメ×テクノロジーの新しいプラットフォーム
3.pamxyのこれから
・各事業部の未来
・会社の未来
・組織は人が全て
・エンターテックで、世界中ココロ踊らす
1.pamxyのこれまで
エンタメ×テクノロジーの可能性、IP事業立ち上げ
ーはじめに、創業当時のお話を伺わせてください。
pamxyを創業したのは、新卒で入社したTBSで2年間勤めた後のことでした。TBS時代は、入社2年目にして自分の企画が番組になる等、非常に充実したものでしたが、「エンタメはテレビの枠に囚われないからこそ可能性が広がるのではないか」と感じるようになりました。そこで、媒体に縛られない、エンタメとテクノロジーをかけ合わせたコンテンツに興味を持ったことをきっかけに独立しpamxyを創業、2019年に自身のYouTubeチャンネルを始めました。
YouTubeは、TBS時代に通らなかった企画を採用し、色々な企画を試しました。その中で、ヒットしたのが今の『あるごめとりぃ』となるホラー系コンテンツでした。そうして、YouTubeをはじめとする自社のIPコンテンツを制作する部署として、pamxy創業と同年に、IP事業部を設立しました。テレビと変わらない、テレビ以上のクオリティのチャンネルを制作するべく取り組んできた結果、3年でチャンネル登録者数100万人を到達しました。
ー”エンタメ×テクノロジー”に可能性を感じたのはなぜでしょうか?
TBS時代からプログラミングスクールに通っていて勉強するうちにテクノロジーの世界とその可能性に魅了されていきました。実際にYouTubeをはじめてみると、テレビを介したエンタメでは成しえなかったエンタメの面白さを、YouTubeというプラットフォームでは可能にしていることに気付かされました。
例えば、テレビでは一つの企画を通すのに、企画書とその予算を沢山の人に通す必要があるので、すごく長い時間が必要となります。一方でYouTubeは少ないステークホルダーのみで自分が面白いと思えるコンテンツを作ることができます。プラットフォームであるテクノロジー次第で、エンタメはもっと面白くなることを強く実感しました。
pamxy創業からの急成長ーマーケティング事業部とコマース事業部立ち上げまで
ーYouTubeをきっかけにIP事業部が発足しましたが、その後pamxyは現在の組織になるまでどのように歩んできたのでしょうか?
pamxy創業から半年後、YouTubeの登録者が増えるに伴って法人からの問い合わせも増え、法人のSNS運用を支援することを目的として「SNSマーケティング事業部」を立ち上げました。クライアントの要望に応じて、YouTubeをはじめとする各種SNSの企画から運用を行いました。ただ、様々なクライアントのSNSコンサルを行う中で、クライアントの要望に応えるためには、SNSだけでなくという媒体に留まらずクライアントに最適なメディアプランニングを提案する必要があることに気付かされました。そこで、運用型広告等も含むSNSと広告を軸にマーケティングを行う「マーケティング事業部」を発足しました。
その後、pamxy創業から2年後、自社のIPリソースを生かす形で「コマース事業部」を立ち上げました。IP事業とコマース事業は非常に相性がよく、たとえばVtuberグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLOR株式会社は売上額253億円のうち58%がコマース事業による収益です。(※1)
弊社においても、既存IPリソースをより展開させる形で、D2Cブランドを展開しています。そして、今年2023年3月には自社既存のプラットフォームではなく、自社のIPリソースを生かした新しいプラットフォームとして、「giff letter」というオンラインギフトサービスをリリースしました。
(※1) 「ANYCOLOR成長可能性に関する資料」 P21より参照
2.pamxyの今
IP事業部の今 最高品質のエンタメコンテンツを生み出す
ーこれまで各事業部の歴史についてお伺いしてきました。では、各事業部の”今”について伺っていきます。はじめに、登録者数100万人を抱えるYouTubeチャンネルを抱えるIP事業部では、具体的にどういった事業を行っていますか?
IP事業部は自社YouTubeチャンネルの運用が主事業で、中でも既存のチャンネルの運用と新規チャンネルの立ち上げの大きく2つに分かれます。
既存チャンネルの運用では、視聴者の方々にもっと楽しんでいただけるように、様々なバディさん(※)とともに、最高品質の動画を作っていきます。また、自社チャンネルの世界観やチャンネルを生かした商品グッズの企画も行っています。
新規チャンネルの立ち上げでは、現在は海外向けとVtuberコンテンツの立ち上げを行っています。チャンネルの企画を検討したり、イラストやモデリングを発注したり、自社のIP事業での実績を生かした新規コンテンツを制作しています。
(※バディ:pamxyでは業務委託のメンバーの方のことを「一緒に事業を推進する仲間」だと考え「バディ」と呼んでいます。)
マーケティング事業部の今 豊富なSNS運用実績と自社チャンネルを抱える強み
ー先ほど、「マーケティング事業部では最適なメディアプランニングを提案する」とありましたが、具体的にはどのような支援をされているのでしょうか?
マーケティング事業部において提供するメディアプランニングは主に、認知の向上と売上獲得の2つの支援になります。
認知の向上は、クライアントの「多くの人に知ってもらいたい」をサポートし、売上獲得は、ある商品の売上を伸ばす手伝いをするものになります。クライアントの要望に合わせて各種SNSの運用を提案したり、時にクライアントの課題がSNSによるマーケティングでは解決し得ない場合には、共に新規事業の立ち上げも行っています。
ーマーケティングを依頼されるクライアントはやはりpamxyの自社チャンネルを見て依頼される方が多いのですか?
はい、ほとんどのクライアントが自社YouTubeチャンネルを見て依頼してくださるため、弊社にはセールス担当は存在しません。また、2か月で登録者が3000人から20万人になった『腰痛・肩こり駆け込み寺』等、SNSマーケティング会社として非常に豊富な運用実績があります。また、マーケティングの基本と実践のナレッジをまとめたオウンドメディア『マーケドリブン』を見て応募される方も多いです。マーケドリブンでは月間20万PVを獲得しました。
SNSマーケティングの会社は近年非常に多いものの、自社で運用するコンテンツを抱える会社はあまりないので、自社コンテンツにおける実績があることが弊社の強みです。
コマース事業部の今 エンタメ×テクノロジーの新しいプラットフォーム
ーコマース事業部が提供する「giff letter」について教えてください。
「giff letter」は、エンタメとテクノロジーをかけ合わせた独自プラットフォームのギフトショップで、相手の住所を知らなくてもリンク一つでギフトが贈れるサービスです。贈り主がギフトと共に贈るためのギフトカードを作成することで、遠く離れていても手紙とともにギフトを贈ることを可能にしたSNSです。『あるごめとりぃ』や『ミッドナイトムーン』のキャラクターのギフトカードも贈ることができるので、YouTubeのファンの方にはギフトに加えて、さらに喜んでいただけたらと思っています。
3.pamxyのこれから
各事業部の未来
ーまずは、IP事業部の今後の展望について教えてください。
IP事業部では、今後新規チャンネルの立ち上げに注力していきます。
一つ目に、既存チャンネル『あるごめとりぃ』の海外向けチャンネルを開設します。今は国内向けにコンテンツを制作していますが、今後英語のナレーターを採用し、海外向けのチャンネルを制作していきます。
そして二つ目に、今最も力を入れている、Vtuberの立ち上げを行います。現在はVtuberオーディションを実施したり、チャンネルの企画や設計等を行っています。今後、自社のYouTubeで培ったノウハウを生かし、世界一の特化型Vtuberコンテンツを生み出すことができると考えています。
ーVtuberは今やどこでも目にするほど私たちの生活に溶け込みつつある存在になりました。その一方で、競争が激化している業界だと思いますが、それについてはいかがでしょうか?
日本国内におけるVtuberの市場規模は今や579億円、この5年で市場規模は3倍になる等、激化している業界ではありますが、Vtuberはまだまだ伸びる余地があると考えています。Vtuberの市場自体の伸びに対して、Vtuberのプレイヤー数が少ないことに加え、そのコンテンツの特徴に理由があります。
今のVtuber業界は、YouTubeで言うと「HIKAKIN」さんや「はじめしゃちょー」さんが出てきた頃だと思っています。このお二人が何でも色んなことを企画して取り組むマルチ系YouTuberであるように、Vtuberも今売れている人の多くがマルチ系Vtuberです。そのため、マルチ系Vtuberに関しては、すでに寡占状態になりつつあると考えています。
ただ一方で、自社の強みである特定のチャンネルに特化した特化型コンテンツのVtuberはまだ現れていません。YouTubeで培ったエンタメスキルを生かし、『知的好奇心を育てるダークヒーロー』という、特化型Vtuberの先駆けになろうと思っています。既に自社のYouTubeチャンネルで登録者数130万人を抱えており、既存チャンネルの視聴者層に加え、更なる視聴者拡大を図っています。
ー次は、マーケティング事業部の今後の展望について教えてください。
オウンドメディアの強化を通じて更なる集客拡大とマーケティングのプロフェッショナル企業としてのブランドを目指しています。その上で、自社コンサルタントの質向上のため、教育の強化に取り組んでおり、「Geek Trip」という自社コンサルタントのスキル向上のための教育制度を構築しました。
「Geek Trip」では、例えば「どうしたらオウンドメディアのPV数が伸びるか」等のテーマに数か月取り組んでもらうことで、コンサルタントのインプット・アウトプットの最大化を図ります。同様に採用も加速させていくので、今後よりマーケティングのプロフェッショナル企業として様々なクライアントにマーケティング支援を実施していきます。
会社の未来 エンターテックで、世界中ココロ踊らす
ーでは、会社全体として、今後5年後どのような未来を描いていますか?
当面は、全社的に特化型Vtuberの制作に注力することで、『あるごめとりぃ』に並ぶ日本一の特化型IPコンテンツを生み出します。
そして、世界一の特化型Vtuberを抱えるエンターテック企業として、企業理念「エンターテックで、世界中ココロ踊らす」の通り、日本だけではなく国境の垣根を超えて、エンタメとテクノロジーをかけ合わせたコンテンツを展開していきます。
海外向けのYouTubeチャンネルやオンラインギフトサービスの海外展開を通じて、数年以内には東南アジアや韓国等に海外支店を作ります。将来的には、バーチャル・オンライン世界でのテーマパーク建設など、エンターテインメントとテクノロジーのシナジーを最大化し、世界中の人が魅了されるコンテンツで世の中をもっと面白くしていきたいと思っています。