DX(デジタルトランスフォーメーション)は各企業が精力的に取り組むべき課題です。
しかし、DXを担う人材を確保できず、足踏み状態になっている企業も少なくないでしょう。
DX人材を取り巻く現状や基本的な知識を細かく解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
この記事を読めば、DX人材について具体的に理解でき、自社で取り組むべき課題が明らかになります。
DX人材とは
そもそもDX人材とはどのような人材のことを指すのでしょうか。
経済産業省によると、DXの定義は以下のように定められています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
簡単に言うと、DXとはデータとデジタル技術の活用によって企業を変革させることです。
そして、DX人材とはDXの推進を主体的に取り組める人材のことを指します。
DX人材の不足
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)による調査によると、DX推進人材の不足感については「大いに不足」という回答が最も多く、次に「ある程度不足」という回答が多くなっています。左記の合計は平均して6~7割に達しており、DX人材に対する不足感が大きいことが分かります。
特に「プロデューサー」や「データサイエンティスト/AIエンジニア」・「ビジネスデザイナー」・「アーキテクト」については「大いに不足」という回答が5割前後に達しており、人材不足の深刻さが伺えます。
参考:独立行政法人情報処理推進機構『デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査』
DX人材を構成する6つの職種
DX人材を構成する職種は以下の6つです。
1職種ずつ詳細を紹介します。
1.プロデューサー
プロデューサーは、DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材(参考:IPA)です。
顧客やパートナー・事業部門と良好な関係を構築・維持しつつ、DXの全プロセスを一貫して統括する役割を持ちます。必要とされる能力は以下の3つです。
ビジネスマインド力
事業全体を俯瞰的に把握し、投資や経営資源の配分などに対して的確な意思決定をする能力
外部環境把握力
ビジネスを取り巻く社会・経済・産業・技術の情勢を理解し、環境変化と将来動向を読み解く能力
組織牽引力
キーパーソンとなる内部・外部の人材や組織を巻き込んで、必要な体制を構築したり予算を確保したりする能力
参考:イノベーションを起こせる人材はどこにいて、なにを欲しがっているのか
2.ビジネスデザイナー
ビジネスデザイナーは、DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進等を担う人材(参考:IPA)です。
ユーザーの課題やニーズからビジネスやサービスを創案し、ビジネスとして展開する仕組みを作る役割を持ちます。必要とされる能力は以下の3つです。
着想力
市場やユーザーの課題やニーズからビジネスやサービスを創案し、事業として有用なアイデアやコンセプトに発展させる能力。
企画構想力
着想したアイデアやコンセプトを、図解や説明によって魅力ある企画に構想する能力。
ファシリテーション力
チームの合意形成や相互理解をサポートすることで、チームの活性化と協調的活動を促進する能力。
参考:イノベーションを起こせる人材はどこにいて、なにを欲しがっているのか
3.アーキテクト
アーキテクトは、DXやデジタルビジネスに関するシステムを設計できる人材(参考:IPA)です。
経営戦略とシステム開発の両面からDXの推進をサポートする役割を持ちます。必要なスキルは以下の11個です。
アーキテクチャ設計
DXにおける課題解決のために要件分析・定義を行い、設計指針を定義・評価する能力。
設計技法
モデリングの技法を深く理解し、企画に最適な技法を適用する能力。
標準化と再利用
標準化とは、開発標準を定義する能力のこと。
再利用とは、既存資産を再利用したり、再利用資産の開発・適用を行ったりする能力のこと。
コンサルティング技法の活用
分析ツールやモデルを理解したうえで、企画に必要な技術を取捨選択しコンサルティングする能力。
知的資産管理
知的資産(技術・ネットワークなど目に見えない資産)を維持・管理し、必要に応じて活用する能力。
テクノロジ
IT業界や関連技術の動向を把握し、企画に適用する能力。
インダストリ
関連業界の動向を把握し、企画に適用する能力。
プロジェクトマネジメント
計画書の作成や全体への指揮・コントロール等、プロジェクト全体を統合しマネジメントする能力。
リーダーシップ
技術に関する知見を活かしてチームメンバーを指導し、目的を達成させる能力。
コミュニケーション
顧客やエンジニア・その他企画に関わる人材へ正確に情報を伝達し、円滑に意思疎通を図る能力。
ネゴシエーション
クライアントや経営者と交渉し、合意を得る能力。
4.データサイエンティスト・AIエンジニア
データサイエンティスト・AIエンジニアは、DXに関するデジタル技術(AI・IoT等)やデータ解析に精通した人材(参考:IPA)です。
デジタル技術の活用やデータ解析によって、ビジネスに活用できる知見を引き出す役割を持ちます。必要なスキルは以下の3つです。
データサイエンス力
統計学や機械学習・人工知能などの知識を活用し、ビジネスに活用できるデータを引き出す能力。
データエンジニアリング力
データサイエンスを活用するために、インフラを設計・構築・実装する能力。
ビジネス力
データ分析によって洗い出されたビジネス課題を理解・整理し、解決する能力。
5.UX・UIデザイナー
UX・UIデザイナーは、DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する人材(参考:IPA)です。
UX(User Experience/ユーザーエクスペリエンス)デザイナーは、製品やサービスを通して面白い・楽しいと感じられる体験をデザインする役割を持ちます。
UI (User Interface/ユーザーインターフェース)デザイナーは、ユーザーが操作する画面を見やすい・使いやすいようにデザインする役割を持ちます。
6.エンジニア・プログラマ
エンジニア・プログラマは、ここまで紹介した内容以外でデジタルシステムの実装やインフラ構築等を担う人材(参考:IPA)です。必要とされるスキルは以下の3つです。
プロジェクトマネジメント力
スケジュールや予算の計画・調整を行い、プロジェクト全体を管理する能力。
エンジニアリング力
情報技術を使ってプログラムやシステムを構築し、ソフトウェアや情報システムの設計・開発・運用を行う能力。
設計技術
プログラムの動作や処理の流れなどを詳細に定義し、全体を把握できるようにする能力。
DX人材に求められる9つのスキル
DX人材に求められるスキルは次の9つです。
それぞれ詳しく説明します。
IT関連の基礎知識
DX人材は、データとデジタル技術の活用によって企業を変革させなければならないため、当然ながらIT関連の基礎知識が求められます。
基礎知識が無いとDXの推進に必要な物と不要なものを判断できないからです。
DX人材を育てるためには、インターネットや通信の知識はもちろん、IoTやAIに関する動向を日々キャッチアップできる環境が大切になります。
課題発見力
DXの推進には課題の発見が欠かせません。
課題を洗い出すことで、初めて仮説検証に踏み切ることができ、企画やプロジェクトを発進させられるからです。
課題発見力は、前提を疑うことや、現状を未来から逆算して捉えることで身につけられます。
社内全体で研修やセミナーを受講し、社員の課題発見力を育ててみてください。
日々課題発見に向き合っている、マーケティング担当者をDX人材に起用するのも良いでしょう。
好奇心とリサーチ能力
好奇心が旺盛でリサーチ能力の高い人は、DX人材に向いています。
いま現在、DXに関する基礎知識が専門性や伴っていなくても、自らさまざまなテーマに関心を持ち、急速に知識を蓄える可能性が高いからです。
また、好奇心旺盛な人は課題発見力や挑戦的な姿勢を持ち合わせており、デジタルリーダーの資質があると考えられます。
デジタル戦略・リーダー的資質
DXを推進するには、デジタル戦略が重要です。
デジタル戦略とは、最新のデジタルテクノロジーをプロジェクトに適用し、他のビジネスと差別化を図る戦略を指します。
また、計画したデジタル戦略を実行するためには、メンバーを指揮するリーダー的資質も必要になります。
リーダー経験が豊富な人材を起用すると良いでしょう。
コミュニケーション能力
DX人材には、コミュニケーション能力も必要です。
DXの推進は一人でできるものではなく、企業全体で進めていくものだからです。
プロデューサーやビジネスデザイナー・アーキテクトなどメンバーを管理する立場は特にコミュニケーション能力が重要視されます。
データの活用力
DX人材にはデータの活用力が求められます。
具体的には、自社で保有しているデータを整理・分析し、理解できるよう可視化する能力です。
また、効率的にデータ活用を行うためには社内全体でデータマネジメント力を強化する必要があります。誰でもデータを蓄積・抽出でき、活用できるように、インフラを整えましょう。
プロジェクトマネジメントの能力
プロジェクトマネジメントの能力が高い人材は、DX化の推進にあたり重宝されます。
DX化を進めるには、適切なスケジュール管理や予算管理、社内外とのコミュニケーションが重要だからです。
マネジメント経験に富んだ人材を採用・起用することをおすすめします。
周りを巻き込む力
周りを巻き込む力が無いと、企業のDX化は円滑に進められません。
DX化を自分ごととして捉えてもらえない限り、現状維持を望む層に協力体制を撮ってもらえないからです。
予算やスケジュール・人材の確保に困窮し、DX化を諦める例も少なくありません。
周りを巻き込む提案ができる人材を確保・育成しましょう。
ユーザー志向
DX化は、ユーザーにとって利用価値の高い体験を提供することに価値があります。
ユーザー志向を持たないDX化はただのデジタル化です。ユーザーにとっての利用価値が無く、収益も生み出しません。
データをただのデータとして分析するのではなく、ユーザーの目線に立って分析・活用するような人材育成に取り組みましょう。
なぜマインドセットが必要か
ここまではDX人材に欠かせないスキルを9つ紹介してきましたが、DXの推進において最も重要視されるのはマインドセットです。
なぜなら、DXの推進にはたくさんの障壁があるからです。
まず、DXを推進するには日々更新される新しい知識やスキルを会得し続ける必要があります。
また、プロジェクトが思い通りに進まないときは、方向性を変えるなどして戦略を練り直さなければなりません。
このようなハードな状況でDX化を成功させるには、実行力や貪欲さといったマインドセットがとても重要になります。
DX人材に必要な5つのマインドセット
DX人材に必要なマインドセットを5つ紹介します。
順番に詳細を解説します。
現状を変えたいという姿勢
DX化を成功させるには、現状を変えたいというマインドを持つことが大切です。
現状に課題意識を持ち、より良くするためにまい進する姿勢こそがDX化を成功に導きます。
この意識があれば、たとえプロジェクトが頓挫しそうになっても、楽しみながら改善を続けることができます。
新しいものを自ら生み出す貪欲さ
新しいものを自ら生み出す貪欲さを持つ人は、DX化を成功させやすいです。
貪欲さがあれば、新しい知識やスキルの習得に全力を注げるからです。
周囲の反対や自らの失敗をものともせず、何度でも試行を重ねられるでしょう。
変化するニーズや状況を苦にしない
DX化を進めるにあたり、変化するニーズや状況を苦にしないマインドセットは重要です。
日々移り変わるユーザーのニーズや、会社の方向性などといった外部要因によって、プロジェクトの戦略を練り直すことは少なくないからです。
プロジェクトを何度も0からやり直せるような、強い精神力を持つ必要があります。
発想を転換できる柔軟性
企業にとって大きな変革であるDX化を成功させるには、発想を転換できる柔軟性が大切です。
常識を疑い、固定観念に捉われない考えができる人材を重宝してください。
自分で考え解決しようとする実行力
DX化を成功させるには、自分で考え解決しようとする実行力が欠かせません。
いま現在の状態に変革を起こすには多大な労力がかかるからです。
逆境を乗り越える強い意志と実行力を持つ方を、DX人材として起用してみてください。
DX人材の採用は難しい
厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和2年2月分)」によると、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は5.88倍と高い数値を示しています。
このデータは、DX人材の獲得競争がとても激しいことを示しています。
DX人材は、新しく採用するよりも自社で育成する方が効率的だと考えられるでしょう。
DX人材を育成するメリット
DX人材を育成するメリットは次の2点が大きいです。
1つずつ詳しく見ていきましょう。
自社の企業に最も適切なシステムが判断できる
DX人材を育成すると、自社の企業に最も適切なシステムが判断しやすくなります。
外部企業に委託する場合と比べ、自社のDX人材は既存システムを使い慣れており、システムの問題点や課題点を把握できているからです。
また、既存システムを開発した背景なども知っているので、発想の転換も行いやすいです。
さらには、人間関係があらかじめ構築できているため、プロジェクトを円滑に進めやすいといったメリットもあります。
新しく人材を採用するよりも、より的確で効率的に改善を進められるでしょう。
しかし、DX人材の育成には教育コストがかかる点は注意してください。長期的な目で育成を進めることが大切です。
企業のシステムの一貫性が保たれる
育成したDX人材を自社で用意することで、企業のシステムの一貫性を保てます。
システムの企画や開発から導入までのすべてを社内で完結できるからです。
一方で、システムの開発業務を外注してしまうと、システムがちぐはぐになる可能性があります。その結果、現場で不満やトラブルが発生するリスクも上がるでしょう。
外注には手間や人材が抑えられるメリットがありますが、一貫性の欠如が大きなデメリットとなります。
自社でDX人材を育成し、一貫性のあるシステムを構築・運用しましょう。
DX人材を育成する6つのポイント
DX人材を育成する際は以下の6ポイントを大切にしてください。
それぞれ詳細を解説します。
DX人材が育つ環境を整備する
DX人材を育成するためは、失敗を恐れない環境づくりが大切です。
DX自体が革新的な取り組みなので、ある程度のミスが起こるのは仕方ありません。
失敗を許容する体制づくりや新しいことにチャレンジしやすい環境づくりをすることが肝要になります。
DX人材になるための学習支援をする
DXへ意欲的な社員には、必要な知識やスキルを学ぶための学習支援を行いましょう。
具体的には、資格取得費用やセミナー参加のための時間を用意することが支援になります。
社内にて、定期的に学習会を開催するのも有用です。
OJTの機会を設ける
現場にすぐ出せるDX人材を育成するには、OJTの機会を設けることをおすすめします。
書籍や座学では学べない実践的な経験を積めるからです。
現場の熱量を体感すれば、成長したいというモチベーションの刺激にもなるでしょう。
OJTと書籍・座学を繰り返し、インプット・アウトプットの両面でDX人材を育成してください。
DXに適した人材を見極める
DXには、適している人材とそうでない人材がいます。育成コストを無駄にしないためには、その社員がDXに適しているかどうかの見極めが重要です。
スキルや知識・経験で判断するのではなく、マインドセットで判断すると良いでしょう。
スキルや知識・経験に比べて、マインドセットを後天的に会得するのは難しいからです。
先述の「DX人材に必要な5つのマインドセット(リンク)」に当てはまる社員を育成対象に登用してみてください。
社員全体のデジタルリテラシーを上げる
企業のDX化を成功させるためには、一部の社員だけでなく会社全体のデジタルリテラシーを上げる働きが必要になります。
デジタルリテラシーが低いと、革新的な取り組みに抵抗感を感じてしまったり、意思疎通に過度なコミュニケーションコストがかかったりしてしまうからです。
チャットやメールでの情報共有や、IT基礎知識の学習会を開催するなど、デジタルリテラシーの底上げを図る取り組みを行いましょう。
デジタルリーダーを確保する
DX化に取り組む際は、プロジェクトを牽引するデジタルリーダーの確保が必要です。
デジタルリーダーには最新技術に関する知見や、その技術の活用方法を見いだす能力、他者からアイデアを引き出す能力を持ち合わせています。
DX化を円滑に進める上で欠かせない人材なので、優先して育成に取り組むべきでしょう。
社内に最適な人材がいない場合は、外部から新たに採用するという手もあります。
まとめ
本記事の内容をまとめるとこのようになります。
- DX人材とはDXの推進を主体的に取り組める人材のこと
- 現在DX人材は不足している
- DX人材を構成する職種は「プロデューサー」「ビジネスデザイナー」「アーキテクト」「データサイエンティスト・AIエンジニア」「UX・UIデザイナー」「エンジニア・プログラマ」の6つ
- DX人材はスキルよりもマインドセットを重要視すべき
- DX人材の獲得競争は激しいため、採用するよりも自社で育成するほうが効率的
- DX人材を自社で育成するメリットは「適切なシステムの判断」や「システムの一貫性」
- DX人材を育成する際は、育成環境の整備や適切な人材の見極めが大切
記事内で紹介した6つのマインドセットを持つ人材を見極め、DX人材の育成に取り組んでみてください。
この記事が、DX人材について知りたい方の参考になれば幸いです。
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